特集 PCAS
Part 2 PCASの予後予測
6.体温管理療法の適応—予後予測因子から適応を考える
黒田 泰弘
1
Yasuhiro KURODA
1
1香川大学医学部 救急災害医学
pp.661-667
発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200103
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本稿では,成人の心原性心停止(除外診断を含む)による心停止後症候群(PCAS)に対する自己心拍再開(ROSC)後の体温管理療法(TTM)の適応について,本特集の「PCASの予後予測」の各項目をふまえて,時間軸に沿って解説する。
Summary
●心原性心停止(除外診断を含む)による心停止後症候群(PCAS)に対する低体温療法の適応基準は,成人,心拍再開していること,血行動態が安定していること,昏睡状態であることである。
●体温管理療法(TTM)施行後は鎮静薬が使用されるため,正確な予後評価は72〜96時間後に,電気生理学的検査(脳波,SEP),脳画像,バイオマーカーなどを併用して,運動反応を含めた神経学的所見から得られる。
●神経学的評価単独では正確に予後を予測することはできない。脳波を加えることで予後評価がより正確になる。特に早期のreactive EEG patternの存在は予後良好を示す。一方,nonreactive or burst suppression EEG patternは予後不良である。
●48〜72時間後のN20両側消失は予後不良を示す。
●NSE,S-100βは脳損傷の重症度を反映するが,その測定方法および正確性に多くの制限がある。
●MRIは重症度の低酸素虚血病変を同定できる能力があり,補助検査として使用できる。
●TTM施行後に判明した予後不良因子は,TTM継続判断の参考となるが,決定的なものではない。
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