特集 PCAS
Part 3 心拍再開後の治療
【コラム】心拍再開後の予後改善に有効な薬物は存在するか?
本間 洋輔
1
Yosuke HOMMA
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 救急科
pp.692-696
発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200106
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心肺蘇生に関して2010年に発表されたILCORのCoSTRにて,心拍再開だけではなく,神経学的予後改善のための自己心拍再開(ROSC)後集中治療の重要性が言及された。その結果,AHA,ERCのchain of survivalにROSC後集中治療が加わり,心停止患者の予後は生存ではなく,神経学的予後にあることが強調されるようになった。本稿では,PCASに対し過去に研究された薬物について紹介する(表1)。
Summary
●ステロイドに関しては,院内心停止を対象とした無作為化比較試験で有用である可能性が示唆されているものの,院外心停止患者でも有効であるとするには,さらなる研究が必要である。
●チオペンタールについては,有効性は示されておらず,合併症のリスクが示唆されている。
●リドカインについては,ROSC後の致死的心室不整脈再発予防の検討が行われたが,神経学的予後に有効かは明らかではない。
●その他さまざまな薬物で検討が行われているが,確実に有用であるとされるものは現時点では存在しない。ただし,心停止を一病態としてではなく,より詳細に分類することで,有効性を得られる患者群が存在する可能性は否定できない。
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