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自己心拍再開return of spontaneous circulation(ROSC)後早期の身体所見と神経学的所見から,生命予後・神経学的予後を予測する試みは古くから行われてきたものの,まだ確立された予測モデルはない。近年の低体温療法の普及に伴い,ROSC直後から数日間は,評価可能な身体所見を得ること自体が困難である。しかしながら,臨床の現場では,その後の治療方針の決定や患者家族への説明を行うにあたり,できるだけ正確で適切な予後予測が期待される。
本稿では,これまでに報告された研究をもとに,どのような身体所見が予後予測因子になり得るかについて,エビデンスに基づいてレビューする。
Summary
●身体所見は,多くの道具を必要とせず短時間で繰り返し得られる,習得しておくべき基本手技であり,自己心拍再開(ROSC)後の患者において重要な予後予測因子である。
●低体温療法がしばしば導入され得るROSC後患者の身体所見による予後予測は,タイミングを熟慮し,適切な診察を行い,薬物などの影響を鑑みて慎重に評価する必要がある。
●身体所見による予後予測には,意識レベル,脳幹反射などの神経学的所見のほか,痙攣発作やミオクローヌスの出現,心拍数や血圧などの血行動態,入院時の体温,シバリングの有無,ROSCから覚醒までにかかる時間などが提唱されている。
●予後予測因子としてしばしば検討されているのは,脳幹反射とGlasgow Coma Scale(GCS)であり,これらは,ROSC後さまざまなタイミングにおける所見が検討されている。
●身体所見はそれだけで独立した予後予測因子となることは難しいが,他の検査とともに,予後予測において重要な位置を占めるものと考えられる。
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