Japanese
English
特集 冠動脈疾患のリハビリテーション
冠動脈外科手術後の長期予後
Long-term Results after Coronary Artery Bypass Surgery.
岡村 高雄
1
,
鈴木 章夫
1
Takao Okamura
1
,
Akio Suzuki
1
1東京医科歯科大学胸部外科
1Department of Thoracic Surgery, Tokyo Medical and Dental University, School of Medicine.
キーワード:
虚血性心疾患
,
A-C Bypass術
,
長期生存率
Keyword:
虚血性心疾患
,
A-C Bypass術
,
長期生存率
pp.445-450
発行日 1984年6月10日
Published Date 1984/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105183
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はじめに
虚血性心疾患に対する外科治療は1967年,Cleveland ClinicのFavaloro1),Efflerらによって始められて以来,15年の歳月が経過し,米国においては年間10万例の手術が行われ,本邦にても近年飛躍的な進歩をとげつつある.しかしながら今日の地位を築くには手術適応,有効性,遠隔成績等に関して幾多の論争が行われてきた結果であり,狭心痛の除去と言うA-C Bypass術の最大の目的には異論のない所に至った.反面,心筋梗塞を予防し,左心室機能の改善を計り,しいては生命の延長に寄与するかどうかが,次なる関心事となりつつある.
生命の延長である長期予後については,欧米では既に詳細なる検討が加えられ,問題点も明らかになりつつあるが,本邦では症例数,術後経過年数等も少なく,現在までほとんど報告されていない.冠状動脈のsize,食生活,生活様式,平均余命等も欧米とは異なっており,本邦での長期予後の結果は今後の虚血性心疾患の発展にかかせざる問題点と考えられる.
虚血性心疾患の遠隔成績を内科治療と外科治療で比較する事は非常に困難である.外科側では手術技量,患者の選択,術後管理等にてその成績は左右され,内科側では冠状動脈造影の技術,評価,さらには重症病変は外科治療にゆだねられる事が多い事,また患者の社会的要因や施設の立地条件等が複雑に絡み合っている.
本邦における冠状動脈造影後の内科治療による報告は皆無に等しい.したがって本稿における遠隔成績は欧米の成績と比較し,論じる事とした.
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