特集 AKI
2.新しいAKIの概念とその診断基準
新しいAKIの概念とその診断基準
内野 滋彦
1
Shigehiko UCHINO
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部
pp.449-454
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100217
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急性腎不全 acute renal failure(ARF)は重症患者に多く発生する合併症である。BEST kidney studyと呼ばれる国際観察研究の結果では,全ICU症例の約6%にARFが発生し,その死亡率は60%程度であった1)。これほど一般的でかつ重篤な合併症であるにもかかわらず,つい最近までコンセンサスの得られた診断基準が存在せず,他の臓器障害や症候群に比べ研究・治療が遅れていた。しかし21世紀に入り,国際的な団体により診断基準が作成,急性腎傷害 acute kidney injury(AKI)の概念が提唱され,さらには早期診断のためのバイオマーカーの開発が急速に進むなど,ARFに対する関心が世界的に高まってきている。本章では,ARFの診断にまつわる過去・現在・未来について述べてみたい。
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