特集 PCAS
Part 1 PCASの病態
【コラム】心停止後のAKI—PCASとの関連と低体温療法の影響
齋藤 慎二郎
1
,
内野 滋彦
1
Shinjiro SAITO
1
,
Shigehiko UCHINO
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部
pp.594-598
発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200095
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近年,心停止後の急性腎傷害acute kidney injury(AKI)の発生頻度が,重症敗血症や敗血症性ショック患者と同様に高いことが明らかになり,その病態と心停止後症候群post cardiac arrest syndrome(PCAS)との関連を指摘する研究がいくつか報告されている。本稿では,心停止後のAKIの疫学,病態生理,そして予後との関連について,これまでに報告された文献の検証を行った。最後に,American Heart Association(AHA)ガイドライン20101)で推奨されている低体温療法は,心停止後のAKIに影響するのかについて検討する。
Summary
●心停止後の急性腎傷害(AKI)発生の病態生理は,虚血による直接的な腎臓の傷害だけでなく,自己心拍再開(ROSC)後の心停止後症候群(PCAS)が関与している可能性が高い。
●心停止後の患者では,AKIの発生頻度が高い。
●心停止後のAKIは,神経学的予後と関連する可能性がある。
●低体温療法が心停止後のAKIに予防的に作用するかどうかは,現時点では不明である。
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