増刊号 消化器・一般外科医のための—救急・集中治療のすべて
Ⅰ章 周術期の集中治療
敗血症と多臓器不全
敗血症の概念と診断基準
松田 直之
1
Naoyuki MATSUDA
1
1名古屋大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学分野
pp.71-76
発行日 2016年10月22日
Published Date 2016/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211350
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POINT
■新しい敗血症の定義と診断として,2016年にSepsis-31)が公表され,敗血症の概念が変わろうとしている.
■Sepsis-31)は敗血症を,感染症あるいは感染症を疑う状態において,制御不能な宿主反応により,生命を脅かす臓器障害が進行する状態と定義した.
■Sepsis-31)は敗血症性ショックを,循環,細胞,代謝の重篤な異常をきたし,死亡率を増加させる可能性のある敗血症の1分画と定義し,十分な輸液にもかかわらず,平均血圧65 mmHg以上を維持するために循環作動薬を必要とし,かつ血清乳酸値が2 mmol/L(18 mg/dL)を超えて上昇する状態と変更された.
■Sepsis-31)における敗血症の診断手順は,院外,外来,病棟などの一般患者と,集中治療室などの重篤患者で区分する.院外,外来,病棟などでは,①呼吸数≧22回/分,②意識変容,③収縮期血圧≦100 mmHgを各1点とするquick SOFA〔quick sequential(sepsis-related)organ failure assessment :qSOFA〕を用い,2点以上で敗血症の疑いとする.
■Sepsis-31)における敗血症の最終診断は,SOFAスコアの合計点数の2点以上の急上昇とする.
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