特集 AKI
1.急性腎不全とは
急性腎不全ARF/急性腎傷害AKIの全体像を捉える
柴垣 有吾
1
Yugo SHIBAGAKI
1
1聖マリアンナ医科大学病院 腎臓高血圧内科
pp.427-448
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100216
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急性腎不全acute renal failure(ARF)は,老廃物排泄,尿の濃縮/希釈による酸塩基平衡水電解質調節,種々の内分泌機能を持つ腎機能の急性廃絶により,体液恒常性維持が破綻する病態である。ARFのマネージメントの向上により,その救命率は飛躍的に改善している一方で,その頻度は増加し,かつより重症な症例が増加しているのが現実である。
病態として,古典的な急性尿細管壊死 acute tubular necrosis(ATN)という構造的異常だけでなく,腎血行動態の機能的異常がより重要視されてきている。さらに,診断や治療に関しても,ARFから急性腎傷害 acute kidney injury(AKI)* という概念に変わり,早期に診断・治療を行うことの重要性が提唱されてきている。
ARFは遭遇する機会の非常に多い病態である。特に集中治療の領域では頻度が非常に高く,集中治療専門医にとって,その病態の理解は非常に重要であると思われる。本章ではARF/AKIの全体像を俯瞰し,後に続く各章のプロローグとしての役割を果たしたい。
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