症例ライブラリー 術中の緊急コンバージョン—方針転換に対する迅速な対応
TAVI中の急激な血圧低下
山田 宗範
1
Munenori YAMADA
1
1福岡大学病院 手術部
キーワード:
冠動脈閉塞
,
V-A ECMO
,
suicide left ventricle
,
自己拡張型人工弁
Keyword:
冠動脈閉塞
,
V-A ECMO
,
suicide left ventricle
,
自己拡張型人工弁
pp.1151-1155
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101203113
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■症例
94歳の女性。身長140cm,体重42kg。息切れを主訴に近医を受診し,経胸壁心エコー検査(TTE)で大動脈弁狭窄症(AS)を指摘され,当院循環器内科を紹介受診。大動脈弁最大血流速度(Vmax)6.0m/sec,大動脈弁口面積(AVA)0.4cm2,大動脈弁圧較差(AVPG)max 145mmHg/mean 88mmHgと超重症ASであり,全身麻酔下に経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)を行う方針となった。
手術当日,右橈骨動脈に観血的動脈圧ラインを確保し,全身麻酔導入。気管挿管後,経食道心エコー(TEE)プローブを挿入,右内頸静脈から中心静脈カテーテル,一時ペーシングカテーテルを留置した。大腿動脈アプローチで大動脈弁に到達したときの心電図は洞調律,心拍数63bpm,血圧110/45mmHgであった。
バルーンを大動脈弁に通過させ,前拡張を施行。心電図は左脚ブロック波形となったが,洞調律は維持。その後,自己拡張型人工弁を大動脈弁に通し,VVI 100bpmでペーシングしつつ人工弁留置へと進んだ。point-of-no-recaptureでも心電図,血圧に大きな変動はなかったが,人工弁をリリースした直後から血圧が低下した。ペーシングを中断してみると心電図は完全房室ブロック(cAVB)に移行しており,45/20mmHgと高度低血圧を呈していた。
さて,あなたならどうする?
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