症例ライブラリー 今日もまたいつもの腹腔鏡
気管挿管後の急激な気道内圧上昇と血圧低下
鬼塚 一聡
1
,
五代 幸平
1
Kazutoshi ONITSUKA
1
,
Kohei GODAI
1
1鹿児島大学病院 麻酔科
キーワード:
気管支挿管
,
point of care超音波
,
POCUS
,
DOPE
Keyword:
気管支挿管
,
point of care超音波
,
POCUS
,
DOPE
pp.735-737
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202991
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■症例
68歳の女性。身長152cm,体重80kg(BMI 34.6)。不正性器出血を契機に診断された子宮体癌に対して,腹腔鏡下子宮悪性腫瘍摘出手術が行われることになった。既往に喘息があるが最終発作は5年前であり,現在内服薬は使用しておらず,術前の呼吸機能検査も正常であった。
■麻酔経過
入室後,プロポフォール,レミフェンタニル,ロクロニウムで急速導入し,気管挿管を行った。気管チューブ(内径7.0mm)を右口角に22cmで固定し,聴診で呼吸音は清明で左右差がないことを確認した。従量式換気(VCV)で1回換気量400mL,換気回数12回/min,呼気終末陽圧(PEEP)6cmH2Oの設定とした。セボフルラン,レミフェンタニル,ロクロニウムで全身麻酔を維持した。執刀前に頭低位の体位チェックを行い,体のずれがないことを確認した。
手術が始まり気腹開始し15°の頭低位としたところ,気道内圧が30cmH2Oへ急激に上昇し,血圧が72/40mmHgへ徐々に低下した。カプノグラムの波形に大きな変化はなかった。肥満の影響も考慮し,換気量と換気回数を調整した。昇圧薬を持続投与して様子をみていたが,気道内圧は下がらず徐々に経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)が低下し始めた。
さて,あなたならどうする?
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