症例ライブラリー 術中の緊急コンバージョン—方針転換に対する迅速な対応
くも膜下出血疑いで搬送された患者
福井 公子
1
Kimiko FUKUI
1
1マインツ大学医療センター 麻酔科
キーワード:
手術室外での麻酔
,
緊急開頭手術
,
カテーテルインターベンション
,
脳出血
Keyword:
手術室外での麻酔
,
緊急開頭手術
,
カテーテルインターベンション
,
脳出血
pp.1146-1150
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101203112
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■症例
62歳の女性。身長167cm,体重75kg。昨晩から後頭部の強い痛みがあり,アスピリンを服用して就寝した。起床後,突然激しい頭痛を訴えた直後に意識を失い,家族が救急要請をした。救急隊到着時,患者は傾眠傾向があるものの,呼びかけに対して一部受け答えができる状態であった。Glasgow coma scale(GCS)E3 V4 M6。激しい頭痛に加え,項部硬直があることから,くも膜下出血の疑いで大学病院へ搬送された。
救急外来において,救急医から3次救急受け入れチーム〔マインツ大学医療センター(以下,当院)ではICUスタッフ,治療担当科,放射線科,麻酔看護師〕への引き継ぎが行われた。
経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)98%(経鼻酸素3L/min),呼吸数15回/min,脈拍89回/min(規則的),血圧180/77mmHg,体温36.7℃。神経学的所見はGCS E3 V4 M6,Hunt and Hess分類GradeⅡ,世界脳神経外科連合(WFNS)分類Grade 2。
呼吸,循環ともに安定しているため,すぐに頭部CTを行ったところ,左後大脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血が疑われた。出血源の精密な診断と治療方法決定のため,血管造影室で3Dアンギオグラフィが予定され,麻酔科による管理が依頼された。
さて,あなたならどうする?
①全身麻酔
②鎮静
③局所麻酔下にmonitored anesthesia care(MAC)
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