症例ライブラリー これ,人工心肺から離脱してOK?
COVID-19肺炎を合併した患者の緊急僧帽弁置換術
上田 桂子
1
,
小林 克也
1
,
池﨑 弘之
1
Keiko UEDA
1
,
Katsuya KOBAYASHI
1
,
Hiroyuki IKEZAKI
1
1かわぐち心臓呼吸器病院 麻酔科
キーワード:
V-A ECMO
,
低酸素血症
,
V-AV ECMO
,
lung rest
Keyword:
V-A ECMO
,
低酸素血症
,
V-AV ECMO
,
lung rest
pp.1040-1043
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202697
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78歳の男性。身長164cm,体重71.7kg。高血圧,慢性閉塞性肺疾患(COPD)あり。近医にて中等度僧帽弁逆流症(MR)の定期的なフォローアップが行われていた。
数日前から発熱,呼吸困難感を認め,COVID-19肺炎の診断のもと,他院に入院し経過観察されていた。経時的な酸素化の悪化を認め,リザーバーマスクでの酸素投与を行っても経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)が90%を保てなくなってきたため,呼吸管理目的で当院に転院となった。
当院への搬送受け入れ時SpO2 82%(酸素10L/min,リザーバーマスク),胸部X線写真,胸部CTにてCOVID-19肺炎による両側浸潤影および肺うっ血があり,非侵襲的換気(NIV)を開始した。NIVはSTモード,吸入酸素濃度(FIO2)1.0,吸気気道陽圧(IPAP)10cmH2O,呼気気道陽圧(EPAP)6cmH2O,呼吸数15回/minにて動脈血酸素分圧(PaO2)86mmHg,動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)47mmHgであったため,気管挿管を行った。泡沫状喀痰が著明であったが,PaO2 140mmHg程度まで改善した。
2日後,酸素化の著明な悪化,血圧低下を認めたため,経胸壁心エコー検査(TTE)を施行したところ,左室駆出率(LVEF)28%,左室拡張末期径(LVDd)56mm,左室収縮末期径(LVDs)43mm,腱索断裂を伴う重度MRを認めた。内科的治療を行っても改善しないため,翌日,緊急僧帽弁置換術(MVR)を行う方針となった。
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