症例ライブラリー 小児の術中気道トラブル
まとめ:小児の気道トラブルに対応するために
宮津 光範
1
Mitsunori MIYAZU
1
1あいち小児保健医療総合センター 麻酔科
pp.236-237
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202851
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問診と術前診察はしっかりと
小児の術中気道トラブルは回避可能である。回避する最も確実な方法は手術をしないことである。成人と異なり,“延期不可能”な症例は少なく,大半は待機可能である。読者が214ページから得る知見は,術前リスク評価の重要性である。手術当日に無症状であっても2週間以内に上気道炎症状があった患者に全身麻酔をすると,周術期呼吸器有害事象(PRAE)の発生率1)が上がることが知られている(表1)。
術前診察では2週間以内の症状について詳細に問診する。特に乳幼児では,同胞の風邪症状を併せて聴取しておくと“隠れ上気道炎”が見つかりやすくなる。口呼吸ならアデノイドや扁桃肥大を疑う。就眠中のいびきや無呼吸について保護者に聴取する。口腔内を診察する際は,動揺乳歯のチェックにとどめず,口蓋扁桃をみる習慣をつけたい。扁桃肥大がある患児では,安易に前投薬を処方しない。緩徐導入ではなく急速導入を選択する。明らかな喘鳴がある患児は最近では多くはないが,コントロール不良な喘息の場合,手術を延期し専門医への受診機会を作る。同居家族が手術前に喫煙を継続しているなら,必ず禁煙させる。
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