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あなたが今夜,当直中の救急外来やPICUにおいて,予期せぬ気道緊急の場面に遭遇したとして,うろたえることなく冷静に対応することができるだろうか?
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すべての小児科医,救急医が小児の気道管理に習熟している必要はない。気道緊急時には応援を呼ぶのが基本中の基本である。しかし,気道の専門家と目される麻酔科医や耳鼻科医が小児の気道管理に精通しているという保証はない。多くの麻酔科医は,成人での気道管理経験は豊富だが,気道を脅かす小児特有の急性疾患の気道管理や,外科的気道確保の経験が豊富であるかどうかはわからない。また,多くの耳鼻科医は緊急度の低い落ち着いた患者の軟性喉頭鏡・気管支鏡操作や,動かない成人患者の外科的気道確保には精通していると思われるが,救急の場面で,意思疎通がとれない小児に対して,そのやり方が通用するとはかぎらない。
もともと小児の予期せぬ困難気道症例は成人に比べて少なく,したがってその管理difficult airway management(DAM)の経験も必然的に少ない。ということは,pediatric DAMエキスパートなどというものは存在しないことになる。そのような状況で,我々intensivistに唯一できることといえば,“自分の身は自分で守ること”である。読者諸氏には,きたるべき困難気道症例に備える気持ちで本稿をお読みいただき,DAMセミナーなどを各自受講し,貴重なpediatric DAMエキスパートになっていただければと思う。
本稿では,総論として,pediatric DAMアルゴリズムの提示とpediatric DAMに関する諸問題の解説,DAM用各種デバイスを紹介する。各論として,救急外来やPICUにおいて遭遇し得る代表的な後天性疾患の対応方法について,ポイントを絞って解説する。なお,小児特有の気道に関する解剖学,生理学および先天性疾患については,「Part 2:先天性気道疾患のマネジメント:症候・診断・治療」に譲る。
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