症例カンファレンス
小児の気道異物摘出術
山内 佑允
1
,
宮津 光範
1
,
小原 崇一郎
2,3
,
藤原 孝志
4
,
香川 哲郎
4
,
笹川 智貴
5
Soichiro OBARA
2,3
,
Takashi FUJIWARA
4
,
Tetsuro KAGAWA
4
,
Tomoki SASAKAWA
5
1あいち小児保健医療総合センター 麻酔科
2都立大塚病院 麻酔科
3帝京大学大学院 公衆衛生学研究科
4兵庫県立こども病院 麻酔科
5東京女子医科大学 麻酔科学分野
pp.91-106
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202434
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来たる2月3日は今年の節分である。古来より節分は季節の変わり目に現れる邪気を祓うために豆をまく行事で,豆まき後は自分の年齢(数え年)の数だけ豆を食べると体が丈夫になるといわれている。しかし,そんな小さな豆が時として子どもの命を奪うことがある。
小児の気道異物は,異物の種類,大きさや性状,位置,誤嚥からの経過時間などによって,患者の状態はさまざまである。また,異物摘出術中にも異物の移動や細片化,摘出操作に伴う浮腫,高圧換気に伴う気胸など,さまざまな変化が起こり得る。常に致命的な経過をたどり得ることを想定した対応が必要となる。また,小児の気道に適した気管支鏡や体外式膜型人工肺(ECMO)など,その施設にある物品や設備に依存するところがあり,緊急性と安全性を踏まえて自施設の限界を把握することが重要である。小児の気道異物摘出術に明確な正解はないが,本症例カンファレンスを通して,各施設での治療戦略を立てる際の参考にしていただきたい。
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