症例ライブラリー 小児の術中気道トラブル
ノーリスク・ノーマークの患児
原 貴子
1
Takako HARA
1
1松戸市立総合医療センター・小児医療センター 麻酔科・小児麻酔科
キーワード:
喉頭痙攣
,
筋弛緩薬
,
プロポフォール
Keyword:
喉頭痙攣
,
筋弛緩薬
,
プロポフォール
pp.210-213
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202843
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■症例1
5歳の男児。身長110cm,体重20kg。鼠径ヘルニアに対して,前方アプローチによる鼠径ヘルニア修復術が予定された。
既往歴なし,いびきなし,喘息・アトピーの指摘なし,同居家族の喫煙なし,直近2週間に感冒を疑う所見はみられなかった。周術期呼吸器有害事象(PRAE)リスクは低いと判断し,緩徐導入による全身麻酔を計画した。気道確保は声門上器具(SGA)を選択した。
■麻酔経過
手術室入室30分前にミダゾラムシロップ10mg(0.5mg/kg)を内服しようとしたが,半分以上吐き出してしまった。
激しい啼泣があり,押さえつけながら酸素6L/min,セボフルラン8%で麻酔導入を行った。
入眠後,自発呼吸に合わせて持続気道陽圧(CPAP)を行っていたが,突然,激しい咳嗽が出現し,10秒ほど続いた後,吸気性喘鳴が出現し引き込み呼吸となった。補助換気を継続していたが,徐々にバッグが硬くなり換気ができなくなった。
『日本麻酔科学会気道管理アルゴリズム(JSA-AMA)』1)の換気状態分類はV3である。経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)は96%まで低下してきた。
さて,あなたならどうする?
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