Medical Essay メスと絵筆とカンバスと・3
ラックノーの4日
若林 利重
1
1東京警察病院
pp.354-355
発行日 1993年3月20日
Published Date 1993/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901127
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ニューデリーには昭和39年(1964年)の12月31日から40年の1月5日まで滞在し,その間に医師会とHoly Family Hospitalで講演した.宿はグプターがゴルフ場のロッヂを世話してくれたので金もかからず静かで快適だった.私は飲水だけには十分注意していた.ボンベイのホテルでもボーイにいつもボイルドウオーターといって熱湯を持ってきてもらった.ここのロッヂのボーイにも同じように頼んだ.ボーイは2回目からはボイルドウオーターだといってポットをテーブルの上に置いてくれるようになった.ニューデリーでは時間的に余裕があったので風景や人物,牛や驢馬などを何枚もスケッチすることができた.
5日の早朝デイリーの駅からアグラへ発った.霧のため飛行機が欠航になったためである.まだ未明の駅までグプターが車で送ってくれたが発車まで間があったので駅のベンチでグプターの顔を画いた.今それをみると彼も実に若々しい.グプターは私より3つ年下である.アグラへの車中,改札にきた車掌の顔は絵になる顔だったので前の空席に座ってもらい細密描写をした.アグラでは終日タジマハールやアグラ城を観光して一泊した.有名なタジマハールは正面から眺めてもすばらしいが,その遠望はさらによく,いつか油絵にしたいと思ってスケッチした.
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