症例ライブラリー 小児の術中気道トラブル
巻頭言
宮津 光範
1
1あいち小児保健医療総合センター 麻酔科
pp.209
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202842
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- 文献概要
近年,日本では出生数の低下が続いている。コロナ禍を経てその傾向は加速した。2023年の出生数は年間70万人程度となることが予想(上期で約35万人余)されている。多くの小児病院が設立された1970年ごろの出生数が年間200万人程度であったことを考えれば,現在はピーク時の1/3に過ぎない。
小児期の手術は先天性疾患に対するものが大半である。先天性疾患の発生率は一定なので,出生数が減れば小児の手術も減る。しかしながら,病院の集約化は進まない。麻酔科専攻医は年々増えているので,一人の専攻医が1施設で経験できる小児症例はさらに少なくなる。小児麻酔の必要症例数25例を満たしただけで麻酔科専門医となった最近の麻酔科医は,いわゆる“小児麻酔の修羅場”を経験せずに指導的立場となる。志願して小児病院に国内留学でもしないと,小児麻酔の経験数は増やせない。そのような中で,これまでと同じ品質で小児麻酔の安全性を担保していくにはどうしたらよいだろうか? 本ライブラリーでは,“ABCのA”である「小児の術中気道トラブル」にフォーカスし,少子化時代だからこそ求められる安全な小児麻酔について勉強していこう。
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