徹底分析シリーズ ステントグラフト治療最前線
巻頭言
坪川 恒久
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.957
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201204
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- 文献概要
約10年前までは,大動脈瘤・解離の治療はすべて開胸・開腹手術が基本であった。多くは一刻を争う急患だったし,また内容としては出血との闘い(「出血より速く」輸血すること)が求められるし…,ところが予後は芳しくなく,冬場の“ハイシーズン”に立て続けに搬送されてくると,心が折れそうになったものである。
ステントグラフト(SG)の臨床導入により,状況は劇的に変わった。当初は,腹部の単純な瘤だけが対象であったが,技術の革新,手技の向上により,胸部,そして弓部と,手術対象が広がってきている。そのため麻酔科医は,どこにSGを入れ,どこにバイパスをつくり,どの血管を閉鎖するのかなど,手術手順を正しく理解し,起こり得る合併症を知ったうえで麻酔計画を立てる必要がある。
また,初期に埋め込まれたSGは10年を越えるようになり,エンドリークが問題としてクローズアップされてきている。エンドリークに対処する方法は追加ステントと手術があるが,こちらもエンドリークのタイプを知って準備することは周術期管理上必須である。
今回の徹底分析シリーズは,いまだ発展途上にあるSGの過去,現在を知り,未来を見通せるように企画した。ぜひ,明日からの臨床に役立てていただきたい。
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