症例検討 術中輸血の決断
巻頭言
坪川 恒久
1
1金沢大学医薬保健研究域 麻酔・蘇生学
pp.1203
発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101680
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- 文献概要
術中輸血には,酸素運搬能と血液凝固能の維持という二つの目的がある。一方で,輸血は臓器移植であり,異型輸血,輸血関連肺障害,移植片対宿主病(GVHD),感染症など,さまざまな合併症が起こり得る。麻酔科医は,これらのリスクとベネフィットのバランスを考慮したうえで,輸血の判断を下すことになる。
また,手術の状況も重要なポイントである。本症例検討では,私たち麻酔科医がよく遭遇する状況を四つ(肝切除術,心臓手術,前立腺全摘術,産科出血)取り上げている。手術ごとに,緊急性,輸血の準備の状況,考慮すべき合併症などは大きく異なる。まず,出血量を予測し,輸血用血液製剤または自己血を準備する。手術中は刻々と変わる状況に応じて,輸血の判断(開始時期,輸血用血液製剤の種類,投与する量)を行う。たとえ予想を大きく超える出血になったとしても,異型適合血輸血なども含めて,フレキシブルに対応するシステムを構築しておかなければならない。
さて,あなたはどう準備して,どう対処する?
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