徹底分析シリーズ 心臓麻酔デビューに向けて:人工心肺を使う手術編〈実践〉
巻頭言
坪川 恒久
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.859
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200661
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- 文献概要
心臓麻酔で使う道具(人工心肺,薬物,輸液・輸血,TEEなど)の基礎について説明してきた。ここから先は,これらの道具をどう使うかについて学んでいこう。
実は,成人心臓手術の対象疾患はそれほど多くない。代表的な疾患は大動脈弁,僧帽弁の狭窄および閉鎖不全,冠動脈疾患,胸部大動脈瘤や解離などである。それぞれの疾患,あるいは手術に特異的な注意点が存在するので,麻酔管理にあたってもそのような注意点を意識し,あらかじめ対処方法を考えておく必要がある。患者の心臓は手術による修復が必要なほど重症である。したがって,人工心肺がスタートするまでは,その弱った心臓をなんとかもたせて人工心肺に逃げ込むことになる。そのためにも各疾患の理解が重要である。一方,人工心肺からの離脱時,止めていた心臓を動かすための管理は,どの疾患でもおおむね共通で,疾患特異的というよりも重症度に応じた管理が必要となる。必要に応じて薬物,あるいは機器(ペースメーカー,IABP,PCPSなど)を使用する。
今回の実践編では,単独の疾患を取り上げている。まずはこれらをしっかり理解し,複合病態や他の合併症が併存するような患者へも対応するための基礎を身につけて欲しい。
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