第5回 兵庫レミフェンタニル懇話会
“当世レミフェンタニル談義”
藤田 啓起
1
,
安東 大器
2
,
加藤 洋海
3
,
入江 潤
4
,
多田羅 恒雄
5
,
内藤 嘉之
6
1六甲アイランド病院 麻酔科
2こうべ市歯科センター
3兵庫県立がんセンター 麻酔科
4神戸労災病院 麻酔科
5兵庫医科大学 麻酔科
6明石医療センター 麻酔科
pp.812-821
発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101008
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2007年のレミフェンタニル発売以来,われわれは半年に一度のペースで勉強会を開いてきた。自分たちの臨床経験を持ち寄り,ベテランを中心に若手を交えて,フランクな議論を交わす場である。毎回大いに盛り上がるディスカッションが興味深く有意義であるため,司会者として,その様子の一端を誌上1)に紹介させていただいたこともある。
レミフェンタニルの臨床使用経験という,いわば日常的な話題に対して,経験豊かなベテランたちが,どうしてこのように熱くなるのだろう。その理由を私は,密かに次のように考えている。すなわち,レミフェンタニルの登場によって,わが国の麻酔科医の文化が変わろうとしているのではないか。ベテランのほうが圧倒的に麻酔が上手だった時代が終わり,レミフェンタニルを上手に使える若者たちが,ハイリスク症例を楽々とこなす時代が到来した。かつての写真の場合と同様,麻酔のバカチョン化が進みつつある。そんな事態に危機感を抱くベテランたちが,レミフェンタニルの使用経験を通して麻酔というものの本質を問い直し,その背景や考え方を再構築しようとする,そういった試みが熱い議論として現れるのではないか。
2009年11月に開催された第5回の懇話会では,このような私の考えをまさに裏づけるような,興味深い議論が交わされた。以下にその要点を紹介し,LiSAの読者とともに,レミフェンタニル麻酔に関していま一度考えてみたいと思う。
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