症例検討 麻酔歴に問題がある患者のインフォームドコンセントと麻酔 1
脊髄くも膜下麻酔の効きが悪かった患者
脊髄くも膜下麻酔を安易に考えると痛い目に 麻酔効果を長持ちさせる方法も駆使しよう
谷戸 康人
1
,
紙谷 義孝
2
TANITO, Yasuto
1
,
KAMIYA, Yoshinori
2
1JA神奈川厚生連伊勢原協同病院 麻酔科
2横浜市立大学大学院医学研究科 生体制御・麻酔科学/神経解剖学
pp.807-809
発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101007
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経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)が行われる際,多くの施設では,脊髄くも膜下麻酔が選択されることが多いと思います。教科書的には,いわゆるTUR症候群*1をいち早く察知し適切な対応がとれるようにするため,患者の意識を残しておきたいと考えることが多いこと,いまだに麻酔科医不足が解消されることのない現状では,麻酔科医の労力を全身麻酔症例に集中させ,比較的安易に考えられることの多い脊髄くも膜下麻酔で行える症例は各科で行うことが常態化しているため,と思われます。
しかし,少しでも経験を積んだ麻酔科医であれば,脊髄くも膜下麻酔は必ずしも簡単な麻酔ではないことが共通認識のはずです。では,なぜ脊髄くも膜下麻酔を「簡単ではない麻酔」と考えるのか,その根拠を示していきます。
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