特集 病気の分子細胞生物学
11.皮膚疾患
キンドラー症候群
清水 宏
1
Hiroshi Shimizu
1
1北海道大学医学部皮膚科
pp.482-484
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901772
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[疾患概略]
キンドラー症候群(Kindler syndrome)は四肢末梢部の水疱形成にひきつづき,手指足趾の癒着,進行性の全身性の多形皮膚萎縮などを認めるまれな遺伝性皮膚疾患である1,2)。遺伝形式としては常染色体優性,劣性の両者が報告されている。本症候群の第1例は水疱,手指の癒着,日光過敏,多形皮膚萎縮を有する14歳女性患者で,1954年,Kindlerにより報告された1)。当初Kindlerは本疾患が栄養障害型表皮水疱症と多形皮膚萎縮の偶然の合併ではないかと考えていた。しかし,その後本症の追加報告が世界から相次ぎ,キンドラー症候群は栄養障害型表皮水疱症の亜型ではなく,独立した疾患概念であるという意見も提唱され,最近まで見解の一致がみられていなかった2)。
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