Japanese
English
研究と報告
中国残留日本人孤児帰国者子弟にみられたCapgras症候群—引き裂かれた自我
Capgras Syndrome in the Child of a Woman Orphaned and Raised in the People's Republic of China and who is Living in Japan: Torn identity
橋村 金重
1
,
岡田 理之
1
,
加藤 光彦
2
,
清水 博
2
,
渡部 多聞
2
,
宮本 宣博
2
Kaneshige Hashimura
1
,
Michiyuki Okada
1
,
Mitsuhiko Katoh
2
,
Hiroshi Shimizu
2
,
Tamon Watanabe
2
,
Yoshihiro Miyamoto
2
1高知医科大学神経精神医学教室
2精華園
1Department of Neuropsychiatry, Kochi Medical School
2Seikaen Mental Hospital
キーワード:
Capgras syndrome
,
Schizophrenia
,
Transcultural shock
,
Identity
Keyword:
Capgras syndrome
,
Schizophrenia
,
Transcultural shock
,
Identity
pp.869-874
発行日 1989年8月15日
Published Date 1989/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204757
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抄録 中国残留日本人孤児が永住帰国に際し,日本に連れ帰った息子にみられたCapgras症候群について報告した。その成立機転として,日本政府により迫害されるとの妄想が関与していると考えられる。症状,発症年齢を考慮すると,基礎疾患は精神分裂病と考えられた。抗精神病薬に反応し,替え玉妄想の対象となった家族との頻回の面会および外出の経験の後,妄想は急速に消失した。本例は,中国残留日本人孤児の子供が帰国後まもなく発症したという点において,広く文化摩擦という状況の関与した精神障害として捉えることができる。今後我が国において増加が予想される中国残留日本人孤児及びその子弟の永住帰国における精神衛生上の問題という観点から若干の考察を加えた。
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