特集 病気の分子細胞生物学
11.皮膚疾患
ロリクリン角皮症
山本 明美
1
,
飯塚 一
1
Akemi Yamamoto
1
,
Hajime Iizuka
1
1旭川医科大学皮膚科
pp.485-486
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901773
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[疾患概略]
近年,遺伝性角化異常症の病因が次々と分子レベルで明らかにされてきている。ロリクリン角皮症は,従来の臨床症状にもとづく遺伝性角化異常症の分類において,指端断節型角化症(Vohwinkel症候群)と進行性紅斑角皮症という別個の疾患概念に分類されていたもののなかに発見された,ロリクリンという表皮の構造蛋白の変異によって生じる一群の疾患に対して,われわれが提唱した病名である1,2)。
指端断節型角化症はきわめてまれな掌蹠角化症の一型で,ほとんどの家系は常染色体優性遺伝性を示す。生後まもなくから現れる掌蹠の蜂の巣状の外観を呈するびまん性の角質肥厚,手指と足趾の絞扼輪の形成が特徴的である。手背足背や膝蓋肘頭の線状ないしヒトデ状に配列する角化性丘疹や全身性の軽度の魚鱗癬,聴力障害,脱毛などを伴う家系もある。ロリクリンの変異による家系は聴力障害を伴わず,全身性の魚鱗癬を伴うことがある点で共通している。
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