連載 職場のエロス・19
セブンティーン
西川 勝
1,2
1井伊掃部町ディサービスセンター
2京都市長寿すこやかセンター
pp.102-103
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100192
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病棟には正月も何もない。新年早々の夜勤明け,ゴミ捨てに出た。普段より多めに菓子類の注文が許されただけ,ゴミ袋はずっしりと重い。両手にいっぱいの袋を引きずってゴミ焼き場へ向かう。ビニールの結び目が手のひらに食い込み,冷たい外気に切られるような痛さだ。
白衣一枚で外に出たことを後悔していた。あと少しだ。破れ小屋のような霊安所のはすかいに,ゴミ処理場はある。保護室の鉄窓のすぐ下だ。周辺に霊柩車が入れるほどの空き地があり,桜の木がたった一本,小屋の脇で寒そうにしている。その下で,ひとりの青年が上半身裸になって筋力トレーニングをしている。
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