講座 10代のこころを診る—思春期相談のために・1
ティーンへの接近—ティーンの理解のために
上林 靖子
1
Yasuko KAMBAYASHI
1
1国立精神・神経センター精神保健研究所
pp.43-45
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902941
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ティーンは児童期と成人期を結ぶ橋の上にいる.ある時は親や先生に守られ,仲間とたわむれた楽しく平和だった児童期をなつかしく振り返る.またある時には不安と期待の入り交じった思いで迫りくる大人の世界をながめる.大人と子どもの狭間にいるかれらは,いつの時代にもわれわれ大人たちにとって,やっかいで不可解な存在であった.
現代のティーンは果たしてどうであろうか.登校拒否,ひきこもりと無気力,抑うつ状態,シンナー吸入,拒食症など,かれらをめぐる問題があいも変わらず続出している.青少年を対象にした各種の相談機関(保健所,精神保健センター,教育相談,児童相談所など)は,これらの問題をもって訪れる青年たちであふれている.ところがこれらの問題は,どれをとってもそのあらわれ,成因,経過,転帰が必ずしも一様でなく,精神保健相談のなかで難しいもののひとつとなっている.
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