Special feature 施設・場面など特性に合わせた感染対策の工夫
❿耐性菌の流入リスクと拡大防止戦略「感染対策バンドルセブン」
小野寺 直人
1
,
嶋守 一恵
2
1岩手医科大学附属病院感染制御部 副部長
2岩手医科大学附属病院感染制御部 主任・感染管理認定看護師
pp.135-141
発行日 2023年4月15日
Published Date 2023/4/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000389
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近年,抗菌薬が効きにくい薬剤耐性菌感染症が世界的に拡大し,公衆衛生および社会経済的に大きな影響を与えている。耐性菌はペニシリンが開発されて以降,1980年代から医療機関等で問題となっていたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)などのグラム陽性菌から,現在では耐性傾向の強い多剤耐性緑膿菌(MDRP)や多剤耐性アシネトバクター(MDRA),カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)の発生により,病院での感染症治療や感染対策は困難になっている。一方,最近の耐性菌の特徴の1つとして,長期入院が必要とされる療養病床や介護施設での耐性菌の蔓延が明らかになっており,一般病院へ入院の際にすでに耐性菌を保菌している患者の割合が多いとされている。特に,MRSAや基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌は,市中での蔓延が問題となっている。
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