連載 めざせ 楽寿食・3
栄養管理と食生活の工夫―ビタミン
松月 弘恵
1,2
,
住垣 聰子
2
,
井上 典代
2
,
大沼 奈保子
2
1東京家政学院大学家政学部
2E-net
pp.250-253
発行日 2002年3月15日
Published Date 2002/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901469
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ビタミン摂取の問題点
平成12年から16年までの5年間使用する「第六次改定日本人の栄養所要量」において,新たにビタミンE,K,B6,B12,葉酸,ビオチン,パントテン酸の摂取基準が加えられて,諸外国と同様に摂取基準を有するビタミンは13項目となった。さらに今までは栄養欠乏症の予防の観点から栄養所要量のみが示されていたが,今回の改定からは過剰摂取による健康障害を予防する目的で「許容上限摂取量」が示されて,所要量と許容上限摂取量を合わせて摂取基準と表現するようになった。一般の食品のみで食事を摂取するのであれば,ビタミン過剰症に至ることは考えにくい。しかし,最近ではスーパーマーケットやドラッグストアでも購入可能となった栄養補助食品の誤った使用によっては過剰摂取の危険もあり得る。
平成11年度の国民栄養調査の結果を見ると,70歳以上の年齢層では男女ともに主要なビタミンであるビタミンA,B1,B2,Cの所要量に対する充足率は20~49歳の年齢層よりも高い。これは緑黄色野菜,淡色野菜,果物の摂取が多いためである。しかし,咀嚼嚥下機能が低下すると食べられる野菜や食品の種類や量が限られる。さらに少人数世帯では多くの食品を準備することは経済的な負担も大きい,高齢者では身体的負担から買い物が困難なことも多い。加えて若年世代と異なり,新しい食品や調理方法に抵抗を示す場合も多い。
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