連載 めざせ 楽寿食・5
栄養管理と食生活の工夫―水
松月 弘恵
1,2
,
住垣 聰子
2
,
井上 典代
2
,
大沼 奈保子
2
1東京家政学院大学
2E-net
pp.420-423
発行日 2002年5月15日
Published Date 2002/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901499
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水分摂取の問題点
水(水分)は体重の約60%(除脂肪体重の約73%)を占め,1日にその1/20以上が出納している重要な栄養素である。生体における水の役割は,身体を構成する水溶性成分を溶かしてその移動や不用成分の排泄に関与すること,体温の保持,さらに視覚や聴覚の機能維持などがある。人間はたとえ食を絶っても水さえ補給すれば,体内の熱量素をエネルギー源として1か月余も生命を保つことができるが,水を断てば数日にして生命力を失う。療養者においても,食事摂取量の低下には配慮しても,水分摂取量減少への配慮に乏しい場合も多々みられる。特に高齢者では加齢に伴い,口渇感を調節する渇中枢の感受性が低下するため口渇を感じにくくなる。また排尿の心配から水分摂取を控える場合もあるため,療養者本人の意思に任せるだけではなく,介護者が水分摂取を意識することが必要である。水分摂取量の確認は熱量や他の栄養素と異なり,湯のみや食器などの容量からも概量を確認できるため,記録や確認も容易である。
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