特集 新人をいかに支えるか
サポートシステムとシャドウ研修の実際から
新人看護師の早期離職防止にシャドウ研修を導入して
山口 千鶴子
1
,
佐藤 ゑい子
1
1国立大学法人富山大学附属病院
pp.237-242
発行日 2007年3月10日
Published Date 2007/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100642
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
近年,高度先進医療を行なう大学病院では,紹介率や病床回転率の上昇により,医療内容が一段と複雑で過密な様相を呈している。富山大学附属病院(以下,当院)も事情は同様であり,現場の看護業務はこうした状況を直接的に受け,重症度の高い患者や,高齢化に起因する看護の必要度の高い患者の入院が常態化している。このような現状を受けて当院では,初めて就職する新人看護師(以下,新人)の不安軽減と現場へのスムーズな定着を図るため,きめ細かな教育指導を実施してきた。
ところが,2005(平成17)年4月,入職した新人が,5,8,9月と1人ずつ退職した。いずれも本学の卒業生であった。そしてさらに連鎖反応のように退職志望者が続出する事態となった。急遽,9月に新人全員に緊急面接を行なったところ,予想以上にリアリティショックが大きく影響している実態が浮かび上がり,結局5名が退職した。
そこで,実習時間数も特に限られ,現場体験も少ない新人が早期離職に陥らないよう,リアリティショック軽減と,複数の看護業務を行なう職業人としてのイメージをしっかり身につけることを目的に,就職前シャドウ研修を本学看護学科と共同で企画実施した。研修後の追跡調査も含めて,本研修から一定の効果が示唆されたので,本稿で紹介する。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.