特集 卒業生のフォローをどうしていますか?
新卒看護師の早期離職防止に看護学校ができること―本校における取り組みを振り返って
鈴木 良子
1
1元横須賀共済病院看護専門学校
pp.520-525
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100076
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はじめに
「卒業生の卒後1年間は,養成校の責任!」。これは私が教務主任になった時に教育方針の1つとしたことである。卒業生をフォローするといっても,大それたことはしていない。例えば,卒業生が看護師国家試験に落ちた時には再受験を促し,その準備や精神面の支援を学校の責任で行うこと,職場に適応できなくて悩みを抱えて母校に訪ねてきた時は,熱いお茶をすすめ話を聞くことなどである。
この方針に対して,卒業生の面倒までみなければいけないのか,少し「甘い」のではないかという考え方もあると思う。しかし,甘やかしているのではない。現代の若者に精神的な未熟さや弱さがあるのなら,それを批判ばかりしていても解決しない。育っていない部分があるなら,出会った人がその時をチャンスとし,ともに成長したいと考えたのである。
学生もそうであるが,卒業生も何かを求めて来た時こそ,自己成長を促すチャンスなのである。彼らとともに考え,彼らの気持ちや考えに寄り添い,真に自立できるまで待つ。ほんの少しの支えで彼らは成長できるのである。
温かく見守られて成長した人は,人を見守ることができ,病んでいる人にそっと寄り添える。この温かく見守れる能力こそが,看護師には第一に求められる要素ではないだろうか。そのように考え,卒業生に対しても私ができることをしたいと思っている。
以下に学内でのフォローのいくつかを紹介し,昨今多くみられる早期離職を防ぐ方法を探ってみたい。なお,事例については,個人が特定できないように配慮している。
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