焦点 臨床看護に関する研究の動向と今後の課題(Ⅳ)—20世紀から21世紀へ向けて
人間の生物学的側面に焦点を当てた看護研究の動向と今後の課題
菱沼 典子
1
,
櫻井 利江
2
1聖路加看護大学
2聖路加看護大学大学院博士課程
pp.209-216
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900613
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はじめに
生物学的理論を基盤にした看護研究は,今日まだ少数派であり,とかく研究のための研究だとか,看護研究ではないとの批判を受ける。人間の生物学的側面の知識として.解剖学,生理学,生化学などが看護教育に必須となっているのと同様,生物学的側面を標的にした看護研究が成り立つことは,論を待たない。しかし,いかにしたら生物学的指標や手法を用いた研究が,看護実践を支える科学となり得るかは,まだ論考の必要がありそうである。そこで本論文では,生物学的側面に焦点を当てた看護研究の動向をとらえ,そのあり方を整理し,今後の方向性を探ってみたい。
CINAHLにより,biologicalとnursingとresearchの3つをキーワードにして,1985年1月〜2000年10月までを検索した結果が表1である。1985〜1993年まではわずかであったが,1994年以降急激な増加を示している。この中には生物学的な指標を用いた研究論文のほか,看護教育における生物学的知識に関する論述なども含まれているが,生物学的領域に関心が高くなっていることは明らかであろう。
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