Japanese
English
展望
児童精神医学の動向—とくに生物学的側面から(そのⅠ)
The Trend of Biological Approaches to Child Psychiatry
山崎 晃資
1
,
林 雅次
1
,
片岡 憲章
2
Kosuke Yamazaki
1
,
Masatsugu Hayashi
1
,
Noriaki Kataoka
2
1東海大学医学部精神科
2市立札幌病院付属静療院児童部
1Dept. of Psychiatry and Behavioral Science, Tokai Univ. School of Medicine
2Sapporo City General Hospital, Dept. of Child Psychiatry
pp.466-479
発行日 1982年5月15日
Published Date 1982/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203412
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Ⅰ.まえがき
わが国における児童精神科医療は,さまざまな問題を内在しながらも着実な発展をとげ,臨床と研究の裾野をひろげてきている。とくに,近年,一般精神医学における生物学的研究が急速に発展し,関連する基礎的研究が飛躍的に進歩するに伴い,児童精神医学における生物学的研究が注目されてきている。
1960年代から脚光をあびてきた児童精神医学における生物学的研究は,それまでの心理学的および社会学的側面からの研究に対するある意味でのアンチテーゼとして登場したものであるが,同時に顕在行動(overt behavior)の生物学的解釈による精神病理学とのインテグレーションの1つの試みでもある。児童精神医学においては,対象児の年齢が低いほど言語を媒介とするかかわりは乏しく,行動の変化によって障害の性質を探ることが必然的になされており,精神障害児と器質性障害児および感覚障害児の行動の比較検討が重要な課題となってきている。すなわち,それぞれの障害において特有な行動とされてきた行動が,他の障害においても認められるようになり,異常行動の発達的研究がなされてきている。
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