焦点 臨床看護に関する研究の動向と今後の課題(Ⅳ)—20世紀から21世紀へ向けて
家族看護研究の動向と今後の課題
鈴木 和子
1
1東海大学健康科学部
pp.201-208
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900612
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はじめに
わが国の看護学に家族看護(学)という領域が位置づけられるようになってから,ようやく10年たったところであろうか。それに先んじること20年くらい前からカナダやアメリカでは,Family Nursingという領域が体系化されはじめていた。そこで,まず,これまでの家族看護研究の経緯について簡単に振り返ってみる。
わが国ではじめて家族看護研究について特集号として取り上げられたのは,『看護研究』誌の1989年4,5号ではないかと思う、その中の総説や座談会での家族看護学の紹介や,掲載されたいくつかの研究は,看護職が家族を援助の対象として取り組むものであるという点で画期的であり,読者に大きなインパクトを与えたのではないだろうか。その後,ほかの主要な看護雑誌でも何年かに1回の割合で家族看護の特集が組まれている(『看護技術』Vol. 40 No. 14[1994],『Quality Nursing』Vol. 30 No. 4[1997],『臨牀看護』Vol. 25 No. 12[1999],『インターナショナルナーシングレビュー』Vol. 23 No. 2[2000])。しかし,それらの特集では総説が中心であり,研究論文の掲載はほとんどみられない。この間,徐々にではあるが,家族看護の研究論文がいくつかの専門誌に散見されるようになってきた。そして1994年に,日本家族看護学会が設立され,翌年から学会誌の発行を始めた。
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