- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
日本国内におけるEBPへの期待感や実装研究という潮流
(渡邊浩子)
看護学における根拠に基づく実践(Evidence Based Practice:以下EBP)は,システマティックレビュー(systematic review:以下SR)によって生み出され,それを臨床で実践することで,患者,ケア提供者,保健医療機関にとってよい成果をもたらす。これは,最適なケアを決定するために,看護の専門知識として利用できる最良のエビデンスと患者・家族の選択とを結合するプロセスである(Titler, Mentes, Rakel,Abbott,& Baumler, 1999)。それでは,臨床の場でEBPがどれほど実践されているのであろうか? 昨今,各医療施設の看護部は施設のホームページ(以下HP)を通して,患者向け,医療者向けに看護部の方針,理念,取り組みなどを紹介している。中には,EBPの導入を看護の特徴として掲げている医療施設も複数見受けられる。日本国内の臨床の場で,確実にEBP が浸透しつつあることを示すものである。
EBPを積極的に取り入れている施設では,取り組んでいる活動のテーマ,EBPの活動体制,活動参加者の声などをHPに掲載しており,働く看護師にとっても魅力的なものとなっている。活動体制を覗いてみると,リサーチセンター,メディアセンター,看護学部など院外のリソースをうまく活用しており,多職種との連携・協働がEBP実践の鍵となっているようである。つまり,EBPを実践していくためには,エビデンスを「つくる」「まとめる」「つたえる」「つかう」という4つのサイクル(後述)が重要であり,各サイクルにおいて,研究者と臨床家が協働して取り組むことが重要である。HPでは,大学院でSRを学んだ臨床家の経験や声なども紹介されており,看護の基礎教育,もしくは大学院教育でSRやEBPなどに触れる・学ぶ機会を得ることは,EBPの実践を臨床に浸透させる第一歩ではないかと考える。
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.