特集 エビデンスを臨床実践に活かす挑戦—JBIを契機とする臨床実践と研究者の協働
扉
牧本 清子
1
1大阪大学
pp.175-176
発行日 2021年6月15日
Published Date 2021/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201871
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臨床におけるエビデンスの重要性はだれもが認識している時代であるが,日本の臨床実践にエビデンスが十分に統合されているとは言い難い。エビデンスレベルにおいて,システマティックレビュー(SR)が最も高く位置づけられているのも周知のことであるが,現在ほとんどのエビデンスは海外の研究に依存しており,日本の研究者が執筆したSRは少ない。本特集では,Evidence Based Practice(EBP)を推進するオーストラリアのThe Joanna Briggs Instituteの3つの連携センター(以下JBI連携センター:大阪大学,千葉大学,大手前大学)に,日本におけるEBPの現状と各連携センターの取り組みや課題を検討してもらった。
日本人によるSRの投稿が少ない理由は,一次研究を重視するわが国の文化が大きく影響していると思われる。特集を通して,世界の看護研究におけるSRの位置づけやSRの教育について把握し,大学院でSRが看護研究の一環となるようなカリキュラムをぜひ検討していただきたい。一方,臨床に関連したガイドラインは,一般的なSRよりも学会や政府機関などが作成する大掛かりなプロジェクトであり,SRと同様のエビデンスレベルとして位置づけられることもある。特集では,SRとガイドラインの目的や作成過程の相違について紹介してもらった。一般的に,SRは量的研究のイメージが強いが,国際誌において質的研究のSRが増加している。WHOなど国際機関のガイドライン作成においても質的研究のSRの重要性が高まっているので,日本のガイドライン作成の上でも参考にしてほしい。
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