特別記事
フィンランドの現状から日本の看護基礎教育の改善点を考える―看護実践能力の強化に焦点を当てて
樋口 明里
1,2
,
山川 みやえ
3
,
牧本 清子
3
1順天堂大学医学部附属順天堂医院看護部
2前大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
3大阪大学大学院医学系研究科
pp.394-397
発行日 2013年5月25日
Published Date 2013/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102389
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はじめに
大阪大学はフィンランドのオウル大学医学部看護学科(Oulu University, Institute of Health Sciences:Nursing Science and health administration)との間で,部局間交流の学術交流協定を結んでおり,2年に1度,研究者,大学院生の交流を行っている。今回は双方の看護基礎教育の特徴を学ぶ目的で研修に参加した。
看護師養成のための基礎教育に関して,日本では看護実践能力を強化し,臨床での継続教育へのスムーズな移行という課題が注目され,そのための対策として日常業務に携わりながら実践を学ぶという統合看護実習が必須となったのが近年の動向である1, 2)。
フィンランドではポリテクニック(高等職業専門学校)において看護実習を経て看護師の資格を取得するのが主な方法であり3─5),看護師資格取得のために日本のような筆記試験での国家試験制度はない3)。また,フィンランドの臨地実習は指導を病院側に任せる側面が大きく,日常業務に携わりながら実践を学ぶという,統合看護実習のような要素も盛り込んだカリキュラムが組まれているといわれているが,詳細はあまり知られていない。
今回は,実践を重視した臨地実習を終えて現場に入るフィンランドのシステムと,近年統合実習をスタートさせた日本のシステムとを比較する。そして日本の大学の現在の看護基礎教育においてどこまでフォローが必要なのか,現場での看護実践能力の強化のために学内演習・臨地実習でどのような工夫が必要かについて学生の立場から考える。
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