——
看護学生と精神科看護実習—臨床指導からの一考察
遠藤 恵美子
1,2
1立川保健所
2東京都立新宿看護専門学校
pp.155-162
発行日 1979年3月25日
Published Date 1979/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907317
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.学生は実習場で精神障害者をどう受けとめるのかということから
精神科看護は看護教育カリキュラムのなかで,特殊な性格をもつものとして位置づけられていた時代から,今や看護そのものの本質に迫り得るとして注目され,検討されるようになってきた.こういう教育内容の変化を受けて,看護学生は精神障害者との全人的なかかわりを通して相手を理解し,看護したいという期待を抱いて精神科看護の実習に臨んでくる.精神病院における実習の日的は,学生のこの期待を,患者とのかかわりのなかで実感を通して体験することにあるということができよう.
しかし,私は精神科看護の臨床実習指導にあたって,素直にこの考えを推し進あていくことができなかった.自己の存在を思う第1の証としての精神、この‘精神が病む’ということはどういうことなのだろうか.‘精神が病み’ながらも,なお生きるということ,それは現在の自己と異なるものであろうか.日々何を考え,何を望み,何に落胆し,そしてまた何に心をときめかして生活するのであろうか.鍵のかけられた病院の中で幾年も生活を送らざるを得ないとなれば,どうするであろうか.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.