人間形成の原理と方法
第4部 人間形成と生活指導(1)
桂 正孝
1
1大阪大学医療技術短期大学部
pp.823-828
発行日 1974年12月25日
Published Date 1974/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906842
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
第1章現代の学校教育と人間形成
1.教育の基本概念と課題の限定
‘生活指導’は,日本の近代学校教育が内包する基本的諸矛盾を克服しようとする教育実践的営為のなかで生成した1つの民主的な教育方法体系である.このように,まず‘生活指導’を規定することは,それが意図的・目的意識的な人間形成の1つの方法体系であっても,包括的概念としての‘人間形成’の方法体系を意味するものではない,ということである.なぜなら,広義の‘人間形成’概念には,自然的・社会的環境の側からの自然発生的・無意図的に影響による人間形成作用も含まれているからである.
こうした川語法上の多義性を整理するために,本稿においては‘教育’という用語を,自然成長的な人間形成作用に対する合目的的・目的意識的・計画的な働き掛け(教育実践)に基づく意図的・価値志向的な形成を意味する狭義の‘教育’概念に限定して使用することにしたい.従って,包括的概念である‘人間形成’と同義に‘教育’概念を用いることを避けることにする.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.