人間形成の原理と方法
第4部 人間形成と生活指導(3)
桂 正孝
1
1大阪大学医療技術短期大学部
pp.112-117
発行日 1975年2月25日
Published Date 1975/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906861
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第3章 生活指導における集団の問題
1.‘集団’をめぐる状況
前章において論じたように,現代の生活指導は訓育的活動の方法体系として位置づけられ,文字どおり社会的存在としての子どもたちの全生活の組織化を通して,民主的な人格と行動能力の形成を目指す社会的・教育的営為である.その指導過程は,他面からみれば集団の組織過程であり,集団の巧みな活用をぬきにして,実生活の組織化はありえない.理性的認識に基づく集団主義的なモラル,社会的規律や人間関係等の形成も,この集団過程を媒介にして初めて可能になるのである.つまり,集団自体が大きな教育力を備えるように組織するということであろう.
しからば,その集団とは何か,またどのように組織すべきか,ということが民主的な生活指導の見地に立って具体的に展開されねばならないであろう.まずその前提として,現に集団はどのように把握されているのか,現在の集団をめぐる状況から問題にしよう.
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