教育の眼
働く者の学習(1)
佐藤 忠男
pp.829-833
発行日 1974年12月25日
Published Date 1974/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906843
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私が,人間の生き方,といったことについて思索しようとするとき,いつも私を重苦しい気分にしてしまう問題がひとつある.私はその問題から逃れることはついに出来そうにない.事柄としては単純なことなのである.それは,私が,少年時代から青年時代にかけて,肉体労働や単純労働をどうしても好きになれなかった,ということである.
私は,小学校高等科2年のとき,半年ほど,学徒動員で鋳鋼工場で働いた,卒業してから予科練に行くまで,3か月ほどは造船工場に行った.予科練の3か月は半ばは土方作業だった.予科練から帰って,5か月ほど車輌工場の木工をやり,その後,鉄道教習所の3年間の生活をへて国鉄の現場に配属になった.3か月ばかり電燈関係の作業場で技術の見習いをやったところで人員整理でクビになり,5か月ほど失業し,その間,1か月ほど田舎の電気工事店で住込みの電気工夫をやった.そのあと電信電話公社の電話機修理工場に7年間,工員としてつとめた.
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