人間形成の原理と方法
第2部 人間形成の方法(2)
扇谷 尚
1
1大阪大学人間科学部
pp.417-420
発行日 1974年6月25日
Published Date 1974/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906784
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第2章 人格形成への3つの道
前章において明らかにしたように,知識の客観的体系性(知識の真理性)の把握が,主体的関連性(知識の実践性)と結びつく場合に,人間形成としての知識学習が成立する.この結合には,人間の基本的要求である知識の探究と幸福の追求のふたつの統一が必要である.
このためには,一方では,学習対象となる知識の性格が問題となる.すなわち,現代産業技術社会では,知識の実践性が,知識の主体からきりはなされた技術的有効性であって,企業とそれを含む市場関係のメカニズムが主体にとってかわっている.しかし,人間形成につながる知識は,それを環境変革のために自己のものとして使用する主体としての人間に密着した実践性の要求が,その本質にふくまれる学問観に立つ知識でなければならない.
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