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食事摂取への援助に関する一事例(2)—食欲のない患者に香辛料を使用して
坪井 良子
1
,
鈴木 佐和子
1
1慈恵高等看護学院
pp.477-481
発行日 1974年7月25日
Published Date 1974/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906793
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Ⅰ.食欲のない患者に対しての援助
食事摂取に関する看護婦の援助でしばしば問題になるのが,食欲のない患者に対する看護である.学生の立てた看護計画をみると,食欲不振を問題点としてあげ,その対策に頭を悩ませていることが少なくない.長期間入院している多くの患者は,食欲不振を訴えているのが実状である.良い食生活は,健康な人にとっては活動の源となり,いったん健康を害した人にとっては,疾病を治癒・回復へと導く大きな原動力となる.疾病が回復に向かっている場合は,食欲も出てきて,十分な栄養をとることができ,それが疾病の治癒に結びついていく.また,どうも食欲がないという時には,病態もおもわしくないということが多くみうけられる.
このように,栄養・食は,患者にとって大切なものであるにもかかわらず,入院患者のなかには,食欲不振による食事摂取の低下がかなりみられ,疾病の治癒にマイナスの因子となっていることが多いようである.阿部氏1)の調査によると,最も多い残食の理由は,食べたくない,すなわち食欲不振によるものであり,残食が主食では約45%,副食では約40%となっている(図1).
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