特集 口から食べたい—経口摂取への援助
神経難病患者の在宅での経口摂取援助
川村 佐和子
1
1東京都立神経病院医療相談室
pp.651-655
発行日 1986年6月1日
Published Date 1986/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921433
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はじめに
神経疾患と食事の課題
神経疾患では,筋力の低下,運動の障害,球症状,自律神経障害等により,望ましい食事姿勢の保持や食物や食器の持ち運び動作,咀嚼,嚥下,消化器官の通過,排せつに障害が生じる.さらに,疾患によっては精神活動が正常性を失ったり,二次的に精神活動がゆがんだりもする.また,神経疾患は長期・慢性・進行性疾患が多く,家族介護の要求が強いため,家庭生活に負担が大きい.これらのことは患者の食生活はもちろん,在宅療養生活に大きな影響をもっている.
神経疾患患者の食事課題を他疾患のそれと比較するとき,大きな差異は消化器疾患や糖尿病患者の場合のような消化・吸収・代謝障害を基礎疾患の主たる症状として持っていないことであろう.
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