教育技術ゼミ
罰による教育(1)
沼野 一男
1
1東邦大学
pp.42-43
発行日 1969年7月1日
Published Date 1969/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906202
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ティーチング・マシンやプログラム学習という新しい教育の方法を提唱したB. F. スキナーは,その理論的根拠として強化による行為の変容ということを考えていた。このことは,別のもっと通俗的な言葉でいえば,「賞による教育」ということである。いつでも学生が正しい行動ができるように,教育する側であらかじめ慎重なプログラムを作っておき,それにしたがって学生が正しい行動を行なった場合に,それに賞を与える。そしてそれによって,その正しい行動を習慣化させようというのである。
このスキナーの提唱は,人間の長い教育の歴史のうえで,ある意味では画期的なことであった。人間の教育(動物の教育も)は長い間,賞によってではなく,罰によって行なわれてきたからである。もちろん,賞による教育ということを提唱した人は,スキナー以前にもないわけではない。しかし,それを現実に可能にする手段や方法を持って,強く主張した人は,スキナー以前にはなかったといってよいであろう。
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