連載 ニュースウォーク・123
健康に“罰”は似合わない―長寿医療制度とメタボ健診
白井 正夫
1
1元朝日新聞
pp.550-551
発行日 2008年6月10日
Published Date 2008/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101008
- 有料閲覧
- 文献概要
言葉は文化である。とすると,この国の文化度は国民が考えるほど高くないのかもしれない。4月にスタートした「後期高齢者医療制度」の話である。
評判芳しからぬ新医療制度に,福田首相が「ネーミングがよくないんじゃないか」と注文をつけると,舛添厚労相がうなずいた。4月1日の閣僚懇談会の席。しかし75歳以上のお年寄りを「後期高齢者」とした新制度はその名もずばりで動き出しており,もはや変更は不可能。厚労相は急きょ,通称を「長寿医療制度」とすることを決めたが,「長寿」と言い換えれば文化度が上がるとも思わない。中身より名称を問うのも,いかにも政治家の仕草。その泥縄ぶりだけをさらけだした。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.