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講座
教育学シリーズⅥ 教育評価(1)
Evaluation of Teaching (Part Ⅰ)
沼野 一男
1
Ichio NUMANO
1
1玉川大学文学部
1Tamagawa University.
pp.629-632
発行日 1978年9月15日
Published Date 1978/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101751
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はじめに
教育評価は,現在教育界で最も論議の多い領域の1つである.この講座の第1回でも,奈良勲氏が「教育における評価が公然と行われるだけの意味を持つために,教育における評価はどうあればよいか」,「他人によって評価され,その結果を示された人間は,それをどう受けとめて行けばよいか」という問題を提起しておられる.しかし,教育評価について現在論議されている問題は,これ以外にも沢山ある.また,奈良氏が提起された問題に答えようとすれば,それ以前に教育評価についてさらに多くの問題が問われ,答えられなければならないであろう.
たとえば,教育における評価という場合,そこで評価されるのは何なのか.評価の対象が学生,教育システムのどれであるかによって,評価の方法や結果の受けとめ方は同じではない.それぞれの場合に,誰が,何を基準として評価するのかということも問題であろう.そしてこのことを問題にするとすれば,さらに遡って,何のために評価をするのかということ,つまり教育評価の目的も問われなくてはならない.「教育における評価はどうあればよいか」,「教育評価の結果を,人はどう受けとめればよいか」という問いに対する答えは,教育評価の目的によって当然変わってくるはずだからである.
教育評価に関する多くの問題のすべてを,この小論で取り上げるわけにはいかない.ここでは先にあげた奈良氏の提起された問題を頭に置いて,まず教育評価の概念と目的を整理することから始めよう.第2回では,主として教師の行う教授活動の評価について述べるつもりである.
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