Japanese
English
特集 予測と意思決定の神経科学
報酬・罰を伝達するドーパミン神経と記憶の局所回路
Dopamine neurons mediate reward or punishment in local circuits
谷本 拓
1,2
Hiromu Tanimoto
1,2
1東北大学 生命科学研究科
2Max-Planck Institute of Neurobiology, Germany
2Max-Planck Institute of Neurobiology, Germany
pp.348-353
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101469
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
これまで経験した感覚情報を統合し,学習した“記憶”に基づき適切な行動をとることは,動物界に広くみられる脳・神経系の本質的な機能の一つである。その複雑な過程の一端を担う脳機能が,特定の刺激と状況を結び付ける連合学習である。報酬・罰などの情動を伴う刺激(正・負の強化因子)が連合記憶の形成を駆動する。このため,連合学習系は報酬・罰が脳内で処理される過程を研究する際に用いられる。ここではショウジョウバエの嗅覚連合学習における報酬・罰を伝達する神経の機能解析についての最近の研究を紹介する。これら神経の同定の背景には,ショウジョウバエ特有の神経回路の機能を操作する遺伝学的技術が大きな役割を果たしてきた。そこで,行動学研究に頻繁に用いられるショウジョウバエの非侵襲的神経操作技術についても解説する。
Copyright © 2013, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.